デザインの悪いパクリと良いパクリ【どこまでが良い基準?】
デザイナーはゼロからデザインを発想する仕事ですがこの『発想』は何も無いところから超絶誰もしたことないようなアイデアが浮かぶ、ということではありません。
デザイナーその人が今まで見てきたものや体験したことをそのままアイデアとして浮かんだり、形を変えたり組み合わせたりして発想しているのです。
(関連記事)アイデアは自分の引き出しの掛け合わせで作れる
つまりデザインを作っていると必ず、何かのパクリみたいなこともあるわけです。
パクリといっても全てそのままパクっているわけではなく、形や何かとの組み合わせにデザイナーその人の“味”が調味料として入っているのでパクリではないのです。
これを全て“パクり”と言うのであれば、世の中全てのデザイン、音楽、発想は全てパクりになってしまいます。
まずはUSJの仕掛け人の書籍から引用です
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「後ろ向きに走るジェットコースター」「ハロウィーン・ホラー・ナイト」「ハリー・ポッター」などUSJをV字回復させた仕掛け人、森岡毅(つよし)氏の書籍「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」にパクリのことがあったので紹介します。
書籍によると、
既にあるアイデアをいただくことをパクリでなく“リアプライ”としています。
ブランドやキャラクターをそのまま真似をするパクりでなく、目に見えないアイデアそのままをもらいます。
アイデアは「まんま」真似るのではない限り合法、世界中のすぐれた会社ならどこでもやっていることです。
例えば宇宙旅行体験!という企画があったとし、宇宙旅行のデザインや造形をパクるのでなく「無重力を体験する」というアイデアを盗むのです。
とのこと。
企画力や発想の考え方などデザインに関わることが数多く載っている本なので、企画者でなくとも広告に関する仕事をしている方はチェックしてみてください。
文庫本もあるので手軽でおすすめです。
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悪いパクリ
ただ、デザイナーの中にはそのままパクる悪いデザイナーもいます。
デザインの配置、色目、構図、全てそのまま右から左に移動。
文字やロゴだけ変えて“はい、完成!”みたいなパクりです。
これはインスピレーションやインスパイア、モチーフ、パロディではないです。パクりです。
昔、悪い先輩がいました。画面の横にWEBで拾って来たポスターデザインを置いて、そのままその配置、色をまるっきしコピーしてデザインをしているじゃありませんか!キャッチコピーも単語を変えてパクってます。なんと恐ろしいデザイナーです。いやもうこれはデザイナーではありません。デザイナーが一番悩む部分を放棄して“作業として”仕事を行なっているのです。
ともかく、WEBや雑誌、どこからか拾って来たデザインを“そのまま”パクるのはNGです。何も考えずに“ただ手を動かしているだけ”はダメです。
パクったデザインは形が整っています。しかし作った本人にデザインや配置の意図を聞くと答えられないでしょう。
右から左にデザインを模写しただけなのでなぜこの配置なのか、なぜ斜めにしたのか、なぜこの色なのかデザインの意味が答えられないのです。
つまりパクったデザインは本人が説明できないデザインとも言えるでしょう。
時にはパクっても良し
そのままデザインを右から左にパクるのはダメですが一つだけパクっていい時があります。それは、、、
『相手のスケジュール管理がしっかりせず時間がない時!』
『会社、上司に縛られて深夜まで働かされて帰れない時!』
そんな時はあえて思考を止めて、デザインを終わらせて早く帰りましょう。
帰って自分の時間を有意義に使ってください。
(関連記事)他人のデザイン、レイアウトをパクると伝わらないデザインになる
パクってはいけないもの
Googleで画像検索した画像、写真
画像や写真は全て著作権があります。ドラッグ&ドロップやスクショをしてデザインの素材として使用してはいけません。
フリー画像と表記しているものにも注意です。必ず利用規約を確認して使用しましょう。
例えば人気の「いらすとや」の素材も「素材を21点以上使った商用デザインは有償」との利用規約が存在しています。
Google MAP
意外かもですがGoogle MAPをスクショしてデザインを作ってはいけません。全ての地図画像(データ)にも著作権があります。Webページで使用するときはMAPのURLを埋め込んで使用しましょう。
(Google MAP利用規約)https://www.google.com/intl/ja/permissions/geoguidelines/
完全フリー著作権無しで使用OKな素材について
CC0のパブリックドメインなど著作権を放棄した素材は使用して問題ありません。
GAHAG(https://gahag.net/)などが有名ですね。
【CC0のパブリックドメインについて】https://creativecommons.jp/licenses/
良いパクリ
商業デザインの場合、デザインの配置や構成は“その意味”や内容によって変わってきます。
この配置が“読みやすい”、“伝わりやすい”という感じで配置、構成していきます。
ですのでパクってきた構成やコピーが“そのまま”当てはまるわけがありません。
パクるとしたら小さな箇所、情報の配置の仕方や技術、こういう見せ方、こういう色目だったり、“各パーツ”をパクることはあります。(メインデザインの意味合いとはあまり関係ないデザインの部分。)
怒られないパクり方
良いパクリとは他のデザインを“自分のものにした時”です。
“こういう見せ方をすればこう見えるな”とか“こういう色目はこう感じるな”とか他のデザインを見た時に自分で気づいた時です。
または何個もデザインしていると、どうしてもデザインのアイデアが浮かばないことは多々あります。
そんな時に部分的に色々な“技術”をパクってデザインに当てはめてみます。
そのときメインデザインの意味が崩れてないようであればOKでしょう。
あくまでもパクる前は“こういうデザインにしたいんだけどな”と思ってくることが前提ですが。
まとめ
今回は悪いパクリと良いパクリをご紹介しました。改めて書くと、
・悪いパクリ…配置やデザイン(ポスターデザインなど)、キャッチコピーをそのままパクる。
・良いパクリ…“こうしたい”、“こういう風に見せたい”と思ってやり方や見せ方がわからない場合、素材や部分的なデザインをパクる
デザイナーの皆さんは思考停止した“そのままのパクリ”をしてはダメですよ。
(関連記事)デザイナーに向いているのは真面目な人
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こちらのレイアウトはパクって問題ありません。
みどりさん