キャッチコピーの考え方【既存の商品を量販店で売るコピー】
今回は既存の商品を売るときに考えたいキャッチコピーの考え方をご紹介します。最近の記事は画像ばかりでしたのでたまには文章だらけの記事でも。
既存の商品というのはいわゆる小売り商売です。スーパーとかコンビニとか。新しい商品を売るのではなくどこにでもある商品を仕入れて売るみたいな。
今回はアサヒスーパードライを例にキャッチコピーを考えていきたいと思います。
ちなみに今回の記事ですが、
既存の商品はどこでも売っているが故、『〇〇円!』とか『超特価!』『最大〇%引き!』とか値段競争のコピーのお話ではありません。
ダメな考え方、ダメなコピー
アサヒスーパードライはどこにでも売っている商品です。
のど越し爽快、辛口生。
ガツンと喉越し、辛口生。
いいですね、スーパードライらしさが出ています。
いいえ実は、(今回のお話にとっては)全然ダメなコピーです。
これはスーパードライを作った『アサヒ』が考えるコピーです。
小売店やスーパーなどでこのコピーをうたっても“ただのイメージ”になりお客さんの目にとまりません。
つまり『あなたのお店らしさ』や『他との差別化』が必要です。
もう少し考えてみましょう。
この味を是非。
飲み飽きないうまさ、アサヒスーパードライ。
どちらもイマイチです。さらにキャッチコピーには『この』とかを使うのは良くありません。
どうでしょう、ポスター見て『このビール、最強』とかキャッチ見ても全然イメージ沸かなくないですか?
このってどれ?お前だれ?みたいな。
『飲み飽きないうまさ』もイマイチです。『飲み飽きない』は個人的なイメージです。
あなたの勝手なイメージが世の中全員が“その通りだ!”と納得するイメージとは限りません。
『飲み飽きないうまさ』と聞いたときにイメージや情景が浮かびましたか?
このコピーはただのアサヒスーパードライの個人的イメージに過ぎません。
ついでにいうと語呂というかリズムも悪いです。見た目的にも『飲み』と『飽きない』と漢字が似ていて読みづらいです。
良いキャッチコピー
ではどのようなコピーが良いのでしょうか。
まず、他のビールと完全に違うものがあります。アサヒスーパードライの『辛口生』です。
辛口のビールと言えばスーパードライです。世の中のほぼ全員がイメージできる言葉で、シズル感も出ている言葉です。
このキーワードは是非取り入れましょう。
やっぱり辛口、(あの)スーパードライ。
『やっぱり』という言葉には『これこれ!』『これでしょ!』みたいな仲間意識みたいなニュアンスが出ます。
アサヒスーパードライが好きな人はこの『辛口なビール』が好きな人です。そこに訴えかけるように“やっぱり”をつけました。
先ほど『この』はイメージが沸かないと書きましたが、もし使いたいのであれば『あの』が良いかと思います。
『辛口生、このおいしさ。』より『辛口生、あのおいしさ』のほうがイメージ沸きませんか?
注意点として『あの』の先にあらゆる人がイメージできることがないといけません。
“あの味、コカ・コーラ”みたいな。コーラの味は見た人誰でもイメージできると思います。
週末、今夜のお供に辛口生。
消費者の生活に落とすコピーです。アサヒスーパードライはどこにでも売っている商品なので、商品自体を訴えかけても響きにくいです。
消費者の生活リズムに訴えるコピーを考えます。つまり商品自体を売るのではなく、情景や生活の豊かさを売るのです。
また週末、今夜など時間的なタイミングで相手にイメージを沸かせるのもアリです。アサヒスーパードライは生ビールです。
毎日お酒を飲む方はわかると思いますが毎日生ビールを買う家庭なんかそうそうありません(普段は安いビールや発泡酒です)。
現代では生ビールはちょっとした贅沢品なのです。ですので週末など消費者が『少し贅沢してもいいな』と思うタイミングに訴えかけるのです。
スタッフも好きです、辛口生。
これはお店のスタッフの信頼度によります。この人が言うんだったら間違い無いだろう!と訴えかけます。
さらに一緒にスーパードライが好きなスタッフが『私も好きです』と自らチラシを配ると効果大です。
逆にスタッフに信頼もないのに、このコピーを使うと逆効果です。お店の信頼もなくなるので注意が必要です。
今回のお話をまとめて自分がキャッチーコピーを考えてみると、
『金曜日、今夜は大事な人と辛口スーパードライ。』でしょうか。
やっぱり生ビールを飲む情景やタイミングに訴えかけるコピーが良いかなと考えます。
キャッチコピーは、かっこ悪くていい
『金曜日、今夜は大事な人と辛口スーパードライ。』ってなんか普通。
それだったら私のほうがいいの考えられるし。『Super Dry Summer Beer』とかでデザインしたほうが、おしゃれじゃない?とかとか聞こえてきそうですが。
キャッチコピーはかっこ良くなくて全然良いのです。
かっこいいものを考えなくちゃ!とか意気込んで作ると『Super Dry Summer Beer』とか、わけの分からない言葉が出来上がってしまいます。
“キャッチコピー”みたいな、ちょっとおしゃれな業界用語があるからダメなんです。
コツとしては消費者に手紙を書く気持ちでコピーを考えましょう。
『Super Dry Summer Beer、この夏辛口生。』よりも、
『当店にご来店いただいたお客様へスーパードライはいかがでしょうか。
今日は金曜日、今夜はちょっと贅沢な時間を。
大事な誰かと一緒に素敵な時間を。』
とかとか。
キャッチコピーは、お手紙を書く感じで考えたほうが絶対いいコピーが生まれます。
是非お役に立てれば幸いです。